お庭おたすけ君の試作

 ちょっと広い庭をお持ちの方、特に庭で家庭菜園やプランター栽培を楽しむ方々の為に「お庭おたすけ君」を試作してみました。以前、おたすけ君シリーズ「畑仕事のおたすけ君」を作成し水路の水をポンプでタンクに貯めたり、鳥獣対策を行ったシステムを畑で使っていたところ、これを見た近所の方が、我が家の菜園でも使ってみたい、ついでに庭園灯にもしたいけどポンプは要らない、という依頼があり考えてみました。家庭菜園でなくとも庭に野良犬や野良猫がぶらっと立ち寄りフンをしたり、折角できたサクランボやすももを鳥に食われたりという悔しい被害にあっている人は私を含め数多くいるはず。そんな方々への「お庭おたすけ君」を紹介致します

全体の構成及び機能

1-1.お庭おたすけ君の構成
1-2.夜間は庭園灯が点灯

上左の写真1-1は、「お庭おたすけ君」の全構成です。1コントロールボックス、2ソーラーパネル、3庭園灯x2セット、4鳥獣対策ボックス、及びこれらを接続するワイヤーケーブルから成っております。ソーラーパネルがあるように、「お庭おたすけ君」は独立型で商用電源を必要とせず、どこにでも設置可能となっております。コントロールボックスには蓄電池及び制御基板が入っており、ソーラーパネルによる充電コントロールを行うとともに、暗くなると庭園灯を点灯させ、3時間ほど経過すると自動的に消灯させます。また、鳥獣対策ボックスを動作させ、日夜を問わず3分間隔で超音波を発生させ鳥を駆逐すると共に、日中は可聴帯域の大音量も同時に発生、夜間はフラッシュを点滅させる等で犬、猫、ハクビシン等の獣駆逐ののコントロールも行っております。勿論、雨や曇りの日が多く蓄電量が減少した場合、過放電にならないよう庭園灯を消す等の制御も入っており、庭に設置しておけば全自動で動作する構成となっております。 夜間の状態を上右写真1-2に示しました。6月の山梨県ですと、7時頃点灯し、10時頃消灯します。庭園灯は2セットが標準装備です。

各部機能仕様

コントロールボックス

2-1a.外形図

画像2-1aがコントロールボックス外形図です。幅19.6x奥行16.2x高さ12.9のコンテナボックスを代用、蓋が庇となりケーブルを挿した状態で防雨仕様です。①はソーラーパネルからの接続端子、②は鳥獣対策ボックスsからの端子、③④は庭園灯用の端子です。誤挿入しないよう端子形状が異なりますが、因みに②は12v電源端子、③④は定電流端子となっております。

なお、画像には見えませんが①端子の左上部に明るさ検知用センサ(CDS)が付いております。

2-1b.内部の構成

コントロールボックスの蓋を開けると画像2-1bのようになっております。⑤は12v/7.2Ahの完全密封型鉛蓄電池、⑥の部分に制御基板が2枚搭載されております。

  • ソーラーパネルから鉛蓄電池への充電制御、過充電防止対策、過放電監視
  • 明るさ検知センサ(CDS)からの情報んいより庭園灯の点灯制御を行ない、3時間で消灯。
  • 鉛蓄電池の電圧低下時(10.8v)に庭園灯消灯(鳥獣対策ボックスの消費電流は少ない為動作は継続させている)

なお、鉛蓄電池が満タン状態の場合、全く太陽光充電が行われなくとも1週間近く庭園灯は正常点灯する仕様である。(そのため庭園灯の数を増やしたり光量を上げたりする構成もありうる)

ソーラーパネル

2-2.ソーラーパネル

外形:435mmx250mmx25mm 最大出力電圧12w、開放電圧21.8v、短絡電流0.73A、最大出力時電圧17.4v なので1時間ほど日照があれば「お庭おたすけ君」1日分程度の電力は賄えるのですが、コントロールボックスの鉛蓄電池が空になると満充電には2日程かかります。コントロールボックスとは3mのケーブルで接続されます。

庭園灯

庭園灯は2セットが付属、内部には3個計3w相当のLEDが搭載されております。光源部は透明硝子、内部は和紙が貼ってあり、傘の部分は釉薬を塗った手作り陶器となっております。従ってこれらは一つ一つが個性豊かな独特な灯りです。コントロールボックスとの接続は定電流制御されたケーブルのみですので明るさはコントロールボックス側で行われ、庭園灯の内部はLEDのみの為、抵抗やドライブ回路が無い分熱の発生が抑えられ小型ですが画像2.3c、2.3dのように実用的な明るさです。木の枝などに吊るすと結構趣があります。勿論防雨仕様で、内部に虫などが入らない構成になってます。なお、傘の直径は7cmから13cm程度の大きさです。コントロールボックスとの接続ケーブルは3m~10m以上。 (庭園灯については、最初に製作を依頼した近所の方が、さらに明るく、さらに遠くに置きたい、という事から6w-12mケーブルも作成しました。)

2-3a.庭園灯1

2-3b.庭園灯2
2-3c.点灯時の庭園灯1

2-3d.点灯時の庭園灯1,2
2-3e.他の庭園灯例

鳥獣対策ボックス

2-4.鳥獣対策ボックス構成

本鳥獣対策ボックスは手作り感満載、コントロールボックスからは12vの電源供給のみが行われるもので、これ自体が独立したシステムです。従ってやはり8bitマイコンを搭載したコントローラ基板、明るさ検知用CDSも有し、12vさえ供給すればこれのみで動作可能です。

画像2-4において①がフラッシュ用LEDアレイで発光時は4.5wの昼光色で発光します。②は超音波スピーカー、③は可聴帯域音のスピーカー、④に少し見えるのは超音波及び可聴帯域音のアンプです。両音源ともマイコンで発振周波数を決定しております。⑤は②③スピーカーの音量調整つまみです。尤も超音波は聞えませんが。超音波は39kHz単一、可聴帯域音は2~3kHzの音源を複数組み合わせており、ウグイスが鳴くように聞こえます。なお、コントロール基板や明るさ検知CDSは①の裏側に配置され、画像2-4からは見えません。 上記フラッシュ及び音源は以下のようにコントロールされております。

  • フラッシュ:3分間隔 夜間のみ 2sec-ON/0.5sec-OFF の点滅を6サイクル 発光時4.5w
  • 超音波:3分間隔 昼夜 200msec-ON/100mesec-OFF を10サイクル
  • 可聴帯域音:3分間隔 昼間のみ 3.3kHz⇒3.1kHz⇒2.9kHz 100msec-0N/50msec-OFF を6サイクル

今後の予定(試作を終えて)

「お庭おたすけ君」は近所の人と我が家用と2セット作ってみました。一度庭に設置した後はバッテリー電圧を時々測定する他は全く放ってありますが、2,3日家を空けた後でも雨の日でも、変わらず庭を明るくしてくれており結構気に入っております。近所からは可聴帯域音の「ウグイス音」が聞えてきて、使ってくれているな、と嬉しく思っております。一方、近所の人の要求も含め、以下の改良すべき内容があがっております。庭園灯の

  1. 庭園灯のケーブルを長くしたい(10m以上とか)
  2. 庭園灯をさらに明るくしたい
  3. 庭園灯を増やしたい
  4. ソーラーパネルの接続端子を標準的なものにしたい
  5. サルやイノシシを駆逐したい

aのケーブル長は10mくらいであれば問題なく延長できます。bとcについてです。鉛蓄電池容量は深い放電を繰り返すと寿命が低下しやすいのですが、今回の試作から1日当たり10~20%程度の電力使用であり、また電圧低下(蓄電容量低下)時には庭園灯を消灯する構成となっている為、庭園灯を明るくしたり数を増やしたりは問題なさそうです。次回試作は標準装備を3セット、明るさを1.5倍程度に設定したいと思います。またソーラー用端子は変更。問題はeです。実際今回の鳥獣対策ボックスが正しく効果があるのか検証出来ておりません。サルは学習能力が高く、今回のものではすぐ無効化されそうです。尤もこの辺は当初から想定済で鳥獣対策ボックスを独立構成とした理由でもあります。新対策が出来た場合そのまま取り換えられる構成、と考えておりました。定刻毎の音源発生でなく、超音波やレーザーを使った対象検出時の発生、あるいは駆逐音や駆逐方法の変更、等々効果のある構成をご存知の読者はご教授下さい。

本試作は製品化し以下のサイトで販売予定ですので是非お立ち寄りください。

手作り灯り工房

陶器や和紙を使い、暖色系の超高輝度LEDを光源とした、全ての一品物かつ全て手作りの灯りを扱ったお店です。もともと電気技術者で某企業のプリンターなどの研究開発を行っていたぐうたらおやじが定年後陶芸家の姉に指導を受け、さらに和紙の灯りの高名な先生に師事、高機能な照明ドライブ回路や陶器と和紙をどのように一体化させたら良いのか、一点一点迷いながらもこれまで世の中に存在しなかった独特な灯りを作ろうと日夜努力してます。…

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